要介護者の口腔ケアのポイントは?
要介護者の口腔ケアは総合的な健康維持に欠かせません。この記事では、そんな要介護者の口腔ケアのポイントについて解説していきます。
口腔ケアとは
口腔ケアは、口内の清潔さを保つことで歯周病や虫歯などの口内トラブルを未然に防ぎ、全身の健康を維持するための大切なケアです。
口腔の健康状態は、全身の健康にも大きく影響を与えます。
例えば、口内の細菌が引き起こす歯周病が、脳梗塞や心筋梗塞などの病気のリスクを高めることがあります。
特に高齢者は、唾液の減少や自己ケアの難しさなどから口腔ケアがより重要となります。
高齢者には介護者や専門家によるサポートが必要であり、定期的な口腔検診も口腔の健康状態を維持するうえで重要です。
口の機能は生きるために重要な機能
要介護の高齢者は口の機能が低下し、食事やコミュニケーションが困難になることがあります。
また、意欲の減退や心身の問題も起こりやすくなります。
そのため、口腔ケアで口の健康を維持し、生活の質を向上させることが重要です。
介護者は専門家の指導を受けながら、安全かつ効果的な口腔ケアを行うことが必要です。
要介護者の口腔ケア前の事前準備
口腔中は、髪の毛一本入っただけでも感じることができるくらい敏感になっています。
また、普通であれば口腔内は日常的に見られたり触られたりはしない部分です。
そのため、要介護の口腔ケアは相手に十分な説明を行いあらかじめ同意を得るなどの対応が必要となります。
しかし、認知機能が低下している場合十分な説明を行ったとしても拒否されることもあるでしょう。
ただ、近年では虫歯や歯周病に罹患した歯を持つ要介護者も増えてきて深刻な顎炎などを発症する可能性も大きくなっています。
炎症が進行してしまうと食べ物の摂取だけでなく、飲み物の摂取でさえも苦痛となってしまい、必要な量の食事や水分も取れなくなってしまいます。
そのため、拒否されているからといって口腔ケアを行わないと口の中だけでなく、身体全体に悪影響を及ぼすことになってしまうため注意が必要です。
いきなりではなく、最初は気持ちよさやさっぱり感を体感してもらい徐々に口腔ケアで炎症を予防していくようにしましょう。
要介護者の口腔ケアのポイント
要介護者の口腔ケアにはポイントがあります。ここからは、そんな要介護者の口腔ケアのポイントについて解説していきます。
口腔内をチェックする
まずは口腔内に問題がないかをしっかりチェックすることが重要です。
口の中に痛みがある場合、口腔ケアを避けようとするため、痛みの原因となっている口内炎や歯肉の腫れ、口腔内の傷などが無いかチェックを行なっていきます。
介助は最小限に
口腔ケアの介助はできるだけ最小限にし、できるだけ本人の能力に任せることが重要です。
不足している部分のみ、口腔ケアの介助を行うようにしましょう。
誤嚥には注意
嚥下機能の低下が見受けられる場合、顔を横に向けたり枕を使って顎を引いたりして、水などが気管に入ってしまうことを原因とした誤嚥を起こさないようにします。
水の使用はできるだけ最小限にとどめ、吸引機や綿棒、ガーゼなどを活用して口腔ケアを行なっていきます。
特に高齢者の場合は、誤嚥による肺炎を引き起こしてしまい最悪の場合、重篤な症状にまで悪化してしまうため注意が必要です。
口腔内は乾燥させない
加齢や薬の副作用を原因とした唾液の減少は、口腔内の細菌を増加させ炎症を引き起こす原因となります。
また、乾燥は口腔内の粘膜も弱めてしまい感染率を高めてしまいます。
乾燥した口腔内の粘膜を加湿し、保湿するとともに口腔機能訓練やマッサ-ジなど口腔ケアを行って唾液の分泌量を増やすことも重要です。
口腔ケアのメリット
口腔ケアには、健康的な口腔機能の維持や改善を通じて、QOL(クオリティーオブライフ)が向上するというメリットがあります。
また口腔ケアは、虫歯や歯周病などの病気を予防し口腔内の衛生環境を改善します。
さらに、唾液の分泌量の増加による口腔内の自浄作用や味覚の改善、口臭の防止、認知症の予防、そしてコミュニケーションの円滑化にも効果があるでしょう。
これらのメリットによって、個々の健康状態や生活の質が向上し、より健康的な生活を送ることが可能です。
口腔ケアの方法
具体的な口腔ケアの方法はどのようなものなのでしょう。
ここからは、具体的な口腔ケアの方法について解説していきます。
うがい
まずは、うがいにより口腔内の食べかすや汚れを落とします。
口腔ケアの最後にもうがいを行い、口腔内に汚れを残さないようにしましょう。
歯磨き
歯ブラシを鉛筆を持つように持ち、歯垢が蓄積しやすい箇所を柔らかく磨いていきます。
唾液が溜まったら定期的に吐き出すか拭き取るようにしましょう。
舌の掃除
歯磨きの他には、舌ブラシを使用して舌も磨いていくと良いです。
舌を奥から手前にやさしく動かし、乾燥している場合は湿らせていきます。
口腔清拭
口腔清拭は、体を起こせない状況や歯ブラシで口腔内を傷つけてしまうときに行う方法です。
スポンジや専用の濡れたペーパーで口腔全体の汚れを除去し、湿った状態に保っていきます。
唾液腺マッサージ
唾液の出やすいポイントをマッサージし、唾液の分泌を促進していきます。
注意して優しく行うのがポイントです。
これらの方法を実践することで、口腔内の清潔を保ち健康な口腔状態を維持します。
まとめ
要介護者にとって口腔ケアは、健康を維持するために重要なことです。
適切に介助し、健康を維持していきましょう。