お医者さんはなぜ白衣?どんな理由がある?
お医者さんと言えば白衣というイメージがあると思います。この記事では、そんなお医者さんが白衣の理由について深掘りしていきます。
白衣の始まりはいつ?
画像出典元白衣が医療従事者の象徴的な衣服として定着する以前は、お医者さんはフォーマルな場である診察場に相応しいと考えられる黒い服を着用していました。
実際に白衣が一般的になったのは19世紀後半以降、ヨーロッパやアメリカで白衣がお医者さんの標準的な服装として採用されました。
白色は清潔感や信頼性を表す色とされ、医療現場での使用に適していると考えられています。
日本においては、白衣が普及したのは大正初期です。
江戸時代にはお医者さんの資格が明確に存在していませんでしたが、明治以降に西洋の医学が導入されるとともに、お医者さんの服装も西洋のスタイルに合わせて白衣の着用が一般化されていきます。
看護師と白衣の関係は?
近現代における看護師の白衣スタイルは、19世紀後半にイギリスの女性看護師フローレンス・ナイチンゲールによって定着しました。
彼女の活動により、看護師のユニフォームとして清潔で機能的な白衣が採用され、長袖のワンピースに白いエプロンを重ね、白いナースキャップを着用するスタイルが確立されることとなります。
日本でも1885年の看護師教育の開始を契機に、ナイチンゲールに倣ったユニフォームスタイルが定着しました。
そして、日中戦争勃発の1937年には、日本赤十字社救護看護婦の派遣に伴い全身真っ白のワンピース型ユニフォームが登場することになります。
お医者さんが白衣を着る理由
前述した通りお医者さんは昔、黒色の衣服で診療を行っていました。
19世紀頃までのお医者さんは科学的な根拠のもと治療を行っていたわけではなく、経験則での治療を行っておりその診療は礼節を重んじるものであったことから黒色の『フロックコート』を着用することが一般的でした。
しかし、医学の進歩とともに医療も科学的根拠に基づいたものとなっていったため科学者と同じ白衣を着ることが増えていきます。
このような背景から、お医者さんが白衣を着る理由はイメージチェンジのためとも言えるでしょう。
手術のユニフォームはなぜ白衣じゃない?
診察中は白衣なのに手術中のユニフォームは、なぜ白衣ではないのでしょう。
ここからは、手術着が青や緑色である理由を解説していきます。
血液の色を和らげるため
手術中に血液が手術着に付着することがありますが、白い手術着では血液の赤が目立ちがちです。
また、青や緑色の手術着に付着した血液は褐色に見えるため、「血まみれ」の印象を和らげることができます。
気持ちを落ち着かせる効果
青や緑色は、赤を見るときよりも呼吸数や心拍数が少なくなり、血圧も下がる傾向があります。
手術室内で青や緑色を見ることで、お医者さんや看護師の気持ちを落ち着かせる効果も期待できるでしょう。
色覚の疲れを軽減するため
手術中は長時間赤を見ることになるため、色覚の疲れが起こりやすいです。
そのため青や緑色が視界に入ることで、赤の色覚受容器である赤錐体の疲れを軽減することができます。
補色残像を抑えるため
血液などの赤を長時間見続けると、赤の補色である青や緑色が視界に浮かび上がる「補色残像」が起こります。
手術室内で青や緑色を配置することで、補色残像の影響を抑えることができるでしょう。
これらの理由から、手術室では青や緑色の手術着が使用され、手術の安全性と効率を高める役割を果たしています。
最近よく見るスクラブとは
近年、白衣ではなくスクラブというユニフォームを着用しているお医者さんが増えてきました。
理由としては洗濯が容易で清潔さを保ちやすく、動きやすさもあるため多くのお医者さんに選ばれているようです。
多様な色やデザインがあり、診療科目や患者のニーズに合わせて選択できるのもスクラブの特徴となっています。
しかし、スクラブの普及により看護師や検査技師なども着用することが増えており職種の区別がつきにくくなるため、一部の医療機関ではお医者さんは診療時に白衣を着用し、処置時に脱ぐなどの対応をとっています。
【番外編】なぜ看護師は白衣の天使と呼ばれるのか
白衣の天使の語源は、フローレンス・ナイチンゲールに由来します。
ナイチンゲールは、クリミア戦争中に数十人の看護師を率いて戦地に赴き、兵士たちの救護活動に従事しました。
その献身的な活動が兵士たちから感謝され、「クリミアに舞い降りた天使」と称されるようになります。
このことから、彼女の活動が後世に称えられ、看護師のイメージを象徴する言葉として「白衣の天使」という表現が生まれました。
まとめ
普段特に意識しないで着ている白衣やスクラブですが、歴史や由来など様々な要素があることがわかりました。
ぜひ一度歴史を感じながら、白衣を着てみてはいかがでしょう。
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