飲食店や食品工場の食中毒対策は?
夏は食中毒が発生しやすい時期です。
特に飲食店や食品工場では気をつけなければなりません。
この記事では、そんな飲食店や食品工場の食中毒対策について解説していきます。
夏に食中毒が発生しやすい理由
夏に細菌性食中毒が発生しやすい理由は、気温と湿度が高くなることで細菌が増殖しやすい環境が整うためです。
細菌は10~60℃の「危険温度帯」で活発に繁殖し、この温度帯に食品が長時間さらされると食中毒を引き起こす可能性が高いです。
夏場はこの危険温度帯に該当する時間が長く、さらに湿度も高いため細菌が急速に増殖します。
特に、カンピロバクターなどの細菌は生、または加熱が不十分な鶏肉に存在しやすく「新鮮なものなら安全」といった誤解から多くの食中毒が発生しています。
また、熱に強いウエルシュ菌のような細菌も存在するため適切な加熱処理が必要です。
食中毒を予防するためには、細菌を食品に「つけない」、危険温度帯で「増やさない」、そしてしっかり加熱して「やっつける」ことが重要です。
食中毒予防の三原則
食中毒予防の三原則は、「菌をつけない」「菌をふやさない」「菌をやっつける」の3つです。
ここからは、そんな食中毒予防の三原則について解説していきます。
菌をつけない
細菌は多くの場所に潜んでいるため、手洗いや消毒を徹底し食材に菌をつけないことが重要です。
特に調理前や配膳前には、必ず手を洗い消毒を行いましょう。
また、調理中に異なる食材に触れる場合も、その都度消毒を行う必要があります。
さらに、食材の保管や調理器具の使用は、用途や食品別に分けて行い交差汚染を防ぐことが大切です。
菌をふやさない
菌は増殖することで危険性が増します。
そのため、食材の温度管理を適切に行い、下処理や調理を速やかに行うことが求められます。
また、調理後の食品についても、保管時の温度管理を徹底し菌が繁殖しない環境を維持することが重要です。
菌をやっつける
細菌は加熱や殺菌によって死滅させることができます。
加熱調理の場合は、基準に従った温度と時間を守って調理を行いましょう。
生食用の野菜や果物は、次亜塩素酸ナトリウムなどで殺菌することが効果的です。
また、調理後の手指の消毒や、使用した器具や容器の洗浄消毒も必ず実施して衛生状態を保つことが重要です。
食中毒の原因となる細菌と予防方法は?
食中毒の主な原因となる細菌は、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、ウエルシュ菌、サルモネラ菌、セレウス菌、腸炎ビブリオなどです。
ここからは、これらの細菌が引き起こす食中毒の特徴や予防策を紹介します。
カンピロバクター
カンピロバクターは、主に生や加熱不十分な鶏肉が原因となる細菌です。
この菌は鶏肉に広く汚染されており、冷凍や冷蔵でも長期間生存する一方で加熱に弱い特徴を持ちます。
感染から2~3日後に腹痛、下痢、発熱、頭痛、嘔吐などの症状が現れます。
予防には、生肉を十分に加熱する(75℃で1分以上)ことが重要です。
また、生肉を扱った後の手指や調理器具の洗浄・消毒も徹底する必要があります。
腸管出血性大腸菌(O157など)
加熱不十分な食肉や生食用野菜などが原因となり、非常に強い感染力を持っています。
感染から3~8日後に激しい腹痛、頻回の下痢、血便が見られ、時には重篤な合併症を引き起こすことも少なくありません。
予防策としては、生肉を十分に加熱し調理器具や手指をしっかり洗浄・消毒することが求められます。
また、感染の可能性がある調理スタッフは、検便で陰性が確認されるまで調理に関わらないようにします。
黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は、おにぎりやサンドイッチなど手で触れる食品に多く見られる細菌です。
この菌は人や動物の皮膚や鼻腔に常在し、毒素は加熱しても無毒化されません。
感染後1~5時間で嘔吐や腹痛、下痢が発症します。
予防には、調理前の手洗い、手荒れのある人が食品に直接触れない、調理後に食品を常温で長時間放置しないなどの対策が有効です。
ウエルシュ菌
ウエルシュ菌は、食肉や魚介類を使った煮物やスープ、カレーなどの大量調理食品が原因となることが多く、加熱に強く長時間保温された食品で繁殖しやすいです。
感染から6~18時間後に下痢や腹痛を引き起こします。
予防には、調理後の食品を速やかに冷却し、再加熱する場合は十分に加熱することが必要です。
基本的には、前日調理を避け当日中に食べ切るようにします。
サルモネラ菌
サルモネラ菌は、卵や鶏肉、淡水養殖魚介類などが主な原因となる細菌です。
この菌は、動物の腸管や自然界に広く生息し乾燥にも強い特徴を持ちます。
感染から12~48時間後に腹痛、下痢、発熱、嘔吐などの症状が現れます。
予防策としては、卵や肉を十分に加熱することや、生卵を冷蔵庫で保管し期限内に使用することが重要です。
また、調理器具や手指の洗浄・消毒を徹底し食材が他の食品と接触しないようにすることも必要です。
まとめ
夏の食中毒は、しっかりと対策することで防ぐことができます。
今回ご紹介した対策をし、発生を防ぐようにしましょう。