N95マスクとは?
医療の現場や粉塵が舞う現場では、N95マスクが使われることがあります。この記事では、そんなN95マスクについて解説していきます。
N95マスクとは?
N95マスクとは、アメリカ合衆国労働安全衛生研究所(NIOSH)のN95規格という基準を満たし、認可された微粒子対応マスクです。
正式な名称は『Particulate Respirator Type N95』であり、0.3μm(マイクロメートル)の微粒子を95%以上捕集します。
ちなみにN95の『N』は、耐油性無しを表す記号です。
N95マスクの始まり
新型コロナウイルスの流行により、知名度と使用頻度が急上昇したN95マスクですがその始まりは1970年代のアメリカ鉱山にあります。
1990年代に入ると、N95マスクはアメリカで特許を取得し鉱山作業者だけでなく医療現場にも広く使用されるようになりました。
当初のN95マスクは、結核など呼吸器に関わる感染症に関連する職業従事者の予防に使われており日本においても結核症対策に使われていました。
新型コロナウイルスが流行するとその対策のために医療の現場でよく見られるようになり、重宝されています。
N95マスクの役割
N95マスクの役割は、空気感染源を捕集しN95マスクを使用している人の感染リスクを下げることです。
空気感染は、くしゃみや咳などを原因とする飛沫の水分が蒸発することで水分が失われ直径5μm以下の飛沫核が空間を漂い肺に入ることで感染します。
つまり、0.3μm以下の微粒子を95%以上捕集するN95マスクはこういった5μm以下の飛沫核を捕集し感染源の病原体からマスクの使用者を守る効果が期待できます。
N95マスクはどのような人に適しているのか
N95マスクは、どのような人に適しているのでしょう。ここでは、N95マスクが適している人について解説していきます。
医療現場で働く人
N95マスクは、手術室や病棟、診察室などパンデミックの最前線で働く医師看護師に適しています。
また、感染症の検査を行う検査技師や検査窓口の受け入れ、感染症患者を輸送する救急救命士など感染症患者や検体と向き合う人に適しているマスクと言えるでしょう。
感染者と関わる人
医療従事者以外にもコロナなど感染後に自宅待機を求められる感染症であれば、同居している家族も感染の危険性があります。
そのため、そういった人もN95マスクが必要です。
また、新型コロナの初期から中期あたりではホテルなどの民間施設で隔離されることも多くありました。
そういった観点から、パンデミック時のホテル従事者もN95マスクが適していると言えるでしょう。
粒子状の物質が出る職場で働く人
工事現場や建設現場では、粉塵や砂塵などが起こりやすく吸い込んでしまうと肺にダメージを与えてしまいます。
また、農作物を収穫する作業者や綿や繊維類を扱う従業員、食品製造従事者など使用範囲は多岐に渡ります。
そのほかにも、花粉症がかなり重い人やPM2.5が気になる人、アレルギー体質な人にも適しているマスクと言えるでしょう。
N95マスクの着用ポイント
N95マスクは、病原菌や粉塵に対して高い効果を発揮してくれますが正しく着用しなければ意味はありません。ここからは、N95マスクの着用時に注意することを解説していきます。
ユーザーシールチェック
ユーザーシールチェックは、フィットチェックとも呼ばれるチェック方法です。
N95マスクと顔の間から空気が漏れ出ているかどうかを調べ、正しく着用できているかを調べるものであり着用するたびにチェックする確認項目でもあります。
確認方法は、陽圧の場合N95マスクのフィルター表面を手を使って覆いゆっくりと息を吐いてみて空気がマスクの隙間から出ているように感じられれば今一度マスクの装着状況を調節してください。
陰圧の場合は陽圧と同じようにN95マスクを手で覆って、ゆっくりと息を吸い込んでマスクが顔に向かって引き込まれればチェックは完了です。
フィットテスト
N95マスクが使用者にしっかりとフィットし、マスクと顔の間から空気の出ている量が最小であるかを確かめるテストです。
フィットテストの内容には、甘味や苦味などを感じるかで漏れを確認する方法とフィットファクターという数字で漏れを測定する方法の2種類があります。
甘味や苦味を感じるかのフィットテストは、まずフードを被り人工甘味料のサッカリンを噴霧して甘みを感じられるかを確認します。
その後、N95マスクを着用してサッカリンを噴霧して深呼吸、頭を上下左右に動かす、口を大きく開けてあいうえおと2回発声(各動作で2回呼吸)し全ての動作で甘みを感じなければ問題ありません。
N95マスクの注意点
N95のマスクについて注意する点は下記の通りです。
・NIOSHのN95規格をクリアしているか確認する
・使用環境に応じて液体防護性のあるものを選ぶ
・息苦しさを感じる場合は別のタイプを試す
・SEKマークがついていればさらに安心できる
※SKEマークとは、一般社団法人繊維評価技術協議会が実施する認証制度です。安全性などに自主的な基準を設けて基準に合格した製品にSKEマークを表示できるマーク制度を行っています。
まとめ
N95マスクは、感染症や粉塵など過酷な環境で働く人の強い味方です。
正しく選んで、正しく着用し効果を高めていきましょう。
おすすめのN95マスク
安全器材と個人用防護具 – N95マスクの選び方・使い方 (jrgoicp.org)
N95マスクを知ろう | 高橋練染株式会社 (takaren.co.jp)
N95マスクを適正に使用するためには | メディアスホールディングス株式会社 (medius.co.jp)
SEKマーク|日本化学繊維協会(化繊協会) (jcfa.gr.jp)