小6が農薬を使わずにジャンボタニシを撃退できる装置を発明
岐阜県関市立旭ケ丘小学校6年生の栗山知大さんが、農薬を使わずにジャンボタニシを駆除したいと思い立ち、捕獲装置「ジャンボタニシの罠(わな)」を作成しました。装置は、プラスチック製の植木鉢とペットボトルを利用して自作。市の発明展では市長賞を獲得しました。関市では、この栗山さんの装置をモデルに捕獲装置を製作し、農家に配布してジャンボタニシの被害防止に役立てています。
農家さんの悩みの声が、開発のきっかけ
開発のきっかけは、2年前、栗山さんが田んぼのそばで釣りをしていた時のこと。
近くの農家から「スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)が稲を食べて困っているが、駆除のためとはいえ強い農薬はなるべく使いたくないんだ」という話を聞いたことでした。
栗山さんは、ジャンボタニシの大きさやピンク色の卵に驚き、どうにかしないといけないと考え、農薬を使わずジャンボタニシを捕まえられる装置の作成に取り掛かったのです。
市販の材料を使って、コストのかからない捕獲装置を発想
栗山さんは、市販されているプラスチック製の植木鉢と空のペットボトルを使って捕獲装置を作ることを考えました。
まずプラスチック製の植木鉢の側面に3カ所、ペットボトルの口径に合わせた大きさで穴をあけ、半分にカットしたペットボトルをはめ込みました。これがジャンボタニシの侵入口となります。
ペットボトルには細かく切れ込みを入れてあります。これは、一度入ってきたジャンボタニシが植木鉢の側面を登って脱出してしまうのを防ぐための工夫です。ジャンボタニシがペットボトルの穴から逃げようとしても、ペットボトルが細かく切られているため、自分の重さでペットボトルの切片がしなり、再び植木鉢の底に落ちてしまうようになっています。
米ぬかを基にした餌で、1日に200匹のジャンボタニシを捕獲
ジャンボタニシをおびき寄せるため、餌にも工夫を凝らしました。米ぬかを基にちりめんじゃこを合わせて団子状に練り、植木鉢の底に置きました。
栗山さんは、農家の協力を得て、昨年8月中旬に2日ほど水田に捕獲装置を仕掛け、30匹以上のジャンボタニシを捕獲しました。
そこから栗山さんはさらに捕獲装置を改良し、底が網目になっている植木鉢に変更しました。また、捕獲しやすい場所を探すと同時に、餌も改良して、今年の5月には1か所で1日に約200匹の捕獲に成功しました。
市長賞を獲得。市は約100個の捕獲装置を制作して農家に配布
栗山さんは、昨年度の関市発明展の小中学生を対象とした部門で市長賞を獲得しました。関市は、岐阜県の補助事業を利用して、栗山さんの作品をモデルにした捕獲装置を約100個製作。農家に配布して、ジャンボタニシの被害防止に役立てています。
この成果が評価され、栗山さんは、関市のJAからも感謝状を贈られました。贈呈式では、JAの組合長から「ジャンボタニシの被害が増える中、すごい装置を考えてくれた」とお礼の言葉が贈られました。これを受けて、栗山さんは「これからもジャンボタニシの生態を調べて、捕獲に活かしたい」と意欲を述べていました。
やはり、開発や発明には、熱心な観察と柔軟なアイデアが必要なのだということを再認識させてくれるエピソードでした。
[参照URL]
yahoo
https://news.yahoo.co.jp/articles/96ef4fcd8b0c2cfcaabdad732f8310497069a45f
日本農業新聞
https://www.agrinews.co.jp/society/index/10158
岐阜新聞Web
https://www.gifu-np.co.jp/news/20210730/20210730-92300.html