大雨による水害対策特集
近年多発する水害に備えておきたい製品をセレクトしました。
洗浄や清掃がきちんとできているかをその場で測定して迅速に結果を出せるルミテスター Smartとルシパック A3によるATPふき取り検査(A3法)は、主に食品・医療分野における洗浄評価に使用されてきました。
近年、ビルメンテナンスやハウスクリーニングなどの清掃分野にも清掃品質の見える化や感染リスク低減に活用される事例が増えてきています。
ルミテスター Smartとルシパック A3による特集を何回か掲載してきたいまちゃすですが、今回は清掃業者様向けの特集を組み、開発元のキッコーマンバイオケミファ株式会社様のご協力のもと実際にATPふき取り検査(A3法)を使用されている企業様の導入目的とその効果、測定例や活用事例をご紹介していきます。
ATPふき取り検査の最も大きな特長は、その場で、誰でも簡単に、10秒程度で“汚れ”を数値化できる、という点です。キッコーマンバイオケミファ株式会社では、ATPふき取り検査の測定装置として「ルミテスター」シリーズ、試薬として「ルシパック」シリーズを取り扱っています(写真1)。ATPふき取り検査の手順は簡便かつ迅速です。綿棒と試薬が一体化したキット(以下「ルシパック」)で測定対象をふき取り、綿棒と試薬を反応させたら、あとは測定装置「ルミテスター」にセットするだけです(図1)。特別な知識や技術がなくても、現場で迅速に清浄度(汚染度)を客観的に評価できることから、様々な施設の衛生管理に導入されています。
ここで“汚れ”とは、細胞由来の有機物全体を示します。ATPふき取り検査は、唾液や鼻水、皮脂、細菌、食品残渣など、汚れ全体を数値化する検査法です。
ATPふき取り検査(A3法)
食品を取り扱う施設において、食中毒リスクの低減は重要な課題の一つです。特に、厨房の包丁やまな板、工場のラインなど、「食品が触れる箇所」(いわゆる「プロダクトゾーン」)の清浄度管理は非常に重要視されています。そこで、そうした箇所を洗浄した後、洗浄が適切に行われたか(キレイになったかどうか)を確認するためのツールとして、ATPふき取り検査を導入している現場が多いです。
こうした環境の衛生検査は、以前は微生物を指標としたふき取り検査が主流でしたが、培養を伴う検査は、検査の際に専門的な知識や技術が必要な場合があり、結果がわかるまでに数日を要する場合もあるため、「誰でも簡便・迅速に、現場で結果がわかる」という特長を備えたATPふき取り検査は、非常に重宝されています。その他、保健所の衛生巡回、多店舗展開チェーンの厨房の衛生管理などでも活用されています。
また、医療機関でも環境の衛生管理、器具(鋼製小物など)や内視鏡の洗浄評価などで活用されています。
そして最近は、ビルメンテナンスやハウスクリーニングなどの清掃分野でも導入を検討する現場が増えています。
様々なユーザーから「ATPふき取り検査は、科学的根拠のある、原理が明確な検査法なので、安心して導入できる」という声をいただいています。そこで、以下にATPふき取り検査(キッコーマンバイオケミファ株式会社の場合は「A3法」)の原理を簡単に説明します。
ATP(アデノシン三リン酸)とは、アデノシンに3つのリン酸が結合した物質で、すべての有機物に存在する化学物質です。ATPからリン酸が1個外れると、7.3 kcalの自由エネルギーが発生します。すべての生物の生命活動は、このエネルギーを利用して行われています。そのため、ATPは「エネルギーの通貨」と表現されることもあります(図2)。ATPは、生物の細胞はもちろん、ヒトの皮脂や血液、髪の毛、肉、魚、果物にも存在します。もちろん微生物にも存在します。そのため、ATPは環境の衛生検査の指標としても適しています。
ATPふき取り検査(A3法)は、ホタルのしっぽが光る原理を応用しており、汚れの指標であるATPを光に変え、その発光の強さを数値化しています(図3)。一般的にATPでは、ATPのみを測定しますが、キッコーマンバイオケミファ株式会社のルミテスター・ルシパックを用いた検査では、ATPだけでなく「ATP+ADP+AMP」を測定します。ATPが加熱や発酵などで分解すると、ADP(アデノシン二リン酸)、AMP(アデノシン一リン酸)という物質になります。ルシパックは、AMPやADPをATPに戻す独自技術を用いることで、ATP+ADP+AMPを測定することができます。そのため、ATPだけを指標とする検査と比べて、より厳密な衛生検査を行うことができます。この「ATP+ADP+AMP」を同時に測定する検査法を、キッコーマンバイオケミファ株式会社では「A3法」と呼称しています(図3)。
図4は大規模調理施設でATPふき取り検査(A3法)と微生物検査(培養法)を同時に実施した結果の一例です。縦軸が菌数、横軸がRLU値※です。右上のピンク色の箇所は、菌数もRLU値も高い状態です。食品施設の場合、「RLU値が高い」=「食品残渣が多い(菌の栄養源が残っているので、後から菌が繁殖する可能性がある)」と考えられるので、この状態では食中毒発生のリスクが高いと懸念されます。
一方、右下の緑色の箇所は、菌数は少ないが、RLU値は高いです。この場合、(菌は少ないが)食品残渣は多いと考えられるため、後から菌の二次汚染(交差汚染)が起きたら、食中毒発生のリスクが高まるかもしれません。潜在的なリスクがある箇所として認識する必要があります。
理想は、左下の水色で示した箇所(菌数もRLU値も低い状態)を維持することです。菌は除去できており、かつ菌の栄養源となる残渣もしっかり除去できているので、食中毒発生のリスクは非常に低いと考えられます。
※RLU=発光量を示すRelative Light Unitの略。ATPふき取り検査に特有の単位
ルミテスターは、現場で“キレイ”を数値化する装置です。現場で収集したデータは、現場を離れた後もデジタルデータとして有効活用できます。例えば、タブレットやスマートフォン、パソコンなどのデバイスに、専用アプリ(以下「ルミテスターアプリ」、図5)をダウンロートすることで、データをBluetoothで連携させたり、クラウドにデータ保存することが可能になります。複数の現場で得られた結果を共有したり、グラフ化など様々な解析も容易に行えます。また、ルミテスターアプリのユーザーからは、測定時刻が自動的に記録に残る点や、現場の記録を転記する作業が不要になる点、改ざん防止の観点などでも、高い評価をいただいています。
オフィスビルでA3法を導入した方々に、その目的や効果をうかがいました。主な目的としては、①わかりやすいサービスの提供、②清掃品質の証明、③環境衛生(感染リスク低減)、④認証取得の検証手段、という4つの観点から、導入を決定した事業者が多いようです。
清掃サービスを提供している事業者の中には、清掃前と清掃後の数値をお客様にその場で提示している事業者も多いようです。施設の管理部門やコンサルタントサービスなどの関係者からは「キレイかどうかを(主観ではなく)数値で示すことで、非常に具体的で、かつ臨場感のある、信憑性の高いサービスの提供につながっている」といった声をいただいています。
導入後の効果としては、汚れている場所を迅速に、かつ具体的に把握できるため、その場で清掃方法の不備を指摘したり、清掃方法の見直しを行うことができます。RLU値が高い場合は、必ず何らかの意味や理由があります。「なぜ数値が高くなったのか?」などを自主的に考えるきっかけにもなります。そして、結果を即座に現場にフィードバックできるので、その場で問題の把握から解決、さらに教育までスピード感を持って行うことが可能となります。
また、美観(目視による判断)は主観的で、ヒトによって異なるものです。特に、様々な国や文化の人たちが働いている現場では、「共通のモノサシ(判断基準)」を持つことは重要です。ATPふき取り検査(A3法)であれば、数値による客観的な判断が行えます。
清掃サービスの事業者では、上記(1)に加えて、「清掃品質の証明」を目的にATPふき取り検査(A3法)を導入した事業者も多いです。例えば、「ルミテスター測定画面」と「現場の写真」を一緒に添付した報告書を提出している事業者もあります。
清掃サービス事業者が清掃品質を証明できていれば、依頼主は安心して依頼できますし、付加価値向上や差別化にもつながると期待されます。
施設の環境衛生の向上は、感染リスクの低減につながります。特に最近は、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、接触感染リスクへの対策の徹底が求められています。唾液や鼻水、手指などが関わる“汚れ”には、ウイルスや病原菌が付着している可能性があります。きちんと表面を清拭、清掃・洗浄して汚れを除去した後、ATPふき取り検査(A3法)で“キレイ”を数値化することは、従業員と訪問者の双方にとって「安全・安心できる場所」としての信頼向上につながります(図6)。清拭の効果については、本項(5)で一例を紹介します。
ここで興味深い調査結果を紹介します。公益財団法人日本交通公社が「今後の旅行では、どのような地域に行きたい/あまり行きたくないと思うか?」というアンケート調査を実施しました。(2021年5月調査)それによると、「行きたい地域」については「これまでに旅行したことのない地域」「愛着のある地域」といった“観光地本来の魅力”が上位になっていましたが、「行きたくない地域」については感染対策に関連した回答が上位を占めていました※。必ずしも感染対策だけが「行きたい理由」にはなりませんが、少なくとも感染対策の不足は「行きたくない理由」になる可能性があることには注意が必要でしょう。
ATPふき取り検査(A3法)は、第三者による審査・監査を受ける際にも、「きちんとマネジメントできているか」を検証する手段として有効に機能します。ここでは2つの規格を紹介します。
(1) ISSA のGBAC STAR認証
国際的な清掃業界の協会であるISSA※1は、感染に対する予防・対応・処置が適切にマネジメントできる施設に対して「GBAC STAR認証」※2 を実施しています。
GBAC Tip Sheet / February 7, 2021には、GBACプロトコルの6つのステップが記載されており、1番目の「Incident Site Risk Assessment ? Quality Control」と4番目の「Forensic Cleaning」のステップにATPの記載があります。
リスク軽減の計画を決定する際に生物学的なテストを実施する場合は、初期の状態の清潔さを確認するために、例えばATPメーターを使用することは適切であると書かれています。また、事前にATPメーターで生物学テストを実施した場合、クリーニングプロセスが効果的だったかを確認するために、ATPメーターで、事後にも生物学的試験を実施すべきだと記述されています。さらに、ISSAのGBACに関するArticles「Assessment of Surfaces / January 8, 2021」にも、表面のクリーニングの客観的なエビデンスベースの測定方法の一つとして紹介されています。
(2) SGSグループの環境調査サービス
また、SGSグループでは「感染予防(洗浄・消毒)管理手順の有効性検証・モニタリングサービス」を提供しており、その中には「清掃・消毒状況の検証&検査」「清掃・消毒管理手順のモニタリング」などの項目があります。それらの項目において、ATPふき取り検査(A3法)が現場における科学的検証、モニタリングの手段として利用されています。
※1 ISSA=International Sanitary Supply Association(本部:米国シカゴ)
※2 GBAC=Global Biorisk Advisory Council(ISSA内でGBAC STAR認証を提唱している部門)
よく「清拭は本当に効果があるのか?」という質問を受けるので、清拭効果を確認した一例を紹介します。
マイクロファイバークロス(トレシー)で清拭した前後で、A3法と培養による微生物・ウイルス検査を実施し、清拭の効果を調査したところ、図7のような結果が得られました。左は、某病院のデスク表面で、清拭前後でA3法と一般生菌数を検査した結果です。右は、プラスチック表面に模擬唾液(ATPを含む)およびネコカリシウイルスを塗布し、清拭前後でA3法およびウイルス力価を測定した結果です。清拭によって、RLU値、一般生菌数、ウイルス力価ともに顕著に減少することが確認できました。
ここで注意してほしい点として、ATPふき取り検査はコロナウイルスを含むウイルスは直接測定できません。ウイルスは遺伝物質(DNAやRNA)が脂質とタンパク質の殻に納まっただけの構造なので、それ自体はATPを含まないからです(ウイルスを直接的に測る場合はPCR検査などを行ってください)。 ウイルスの直接測定はできませんが、ウイルスが付着している可能性がある汚れ(鼻水、唾液、手で運んだ汚れなど)が清掃・洗浄によって除去できたかどうかの確認はできるので、感染リスク低減につながると考えられます。
具体的にオフィスビルにおいて、ATPふき取り検査(A3法)を実施した場合、どのような測定結果が得られるのか紹介します。某ビル内の24ヶ所(受付周辺、エレベーター、オフィス内、トイレなど)で、同じ場所を2本の綿棒でふき取り、一方をATPふき取り検査(A3法)、もう一方を菌検査に供しました。測定は、清掃前および清掃後に実施(清掃はトレシーで清拭)、菌検査には Easy Plate AC(キッコーマンバイオケミファ製)を使用しました(図8)。
A3法の結果は、清掃前は分布にバラツキが見られましたが、清掃後は低い値に集中しており、清掃後の平均値は1,021 RLUと良好でした。清掃後の測定値の80%タイル(結果の小さい値から80%が収まる範囲)は1,555 RLUであり、これらの結果から、清掃後2,000 RLU以下をオフィスビルの基準値とし、清掃後2000 RLUであれば、今回実施した清掃が現場できちんと実施できたと言えます。(図9)。
※基準値は、取得したデータをもとに、検査の目的や環境、状況に応じて設定を見直します。基準値の設定については、下記HPの運用マニュアル(基準値設定など)をご覧下さい。
【キッコーマンバイオケミファ株式会社】
ATPふき取り検査(A3法) 運用マニュアル(基準値設定など)
https://biochemifa.kikkoman.co.jp/kit/atp/method/guide/
菌検査の結果は、清掃前はトイレの洗面台やドアの測定値がやや高く、オフィスドアや電話ボタン、受付テーブルでも一定数の菌数は見られましたが、それ以外は少ない菌数といえます。清掃後は全て20 cfu未満で、日常の清拭作業が行き届いていると考えられました(通常より利用者数が少ない時期であったことも、菌数が少なかった要因として挙げられます)。
清掃前後のATPふき取り検査(A3法)と菌検査の推移をまとめると、図11のようになります。清掃前は右上(オレンジ色)に分布していたプロットが、清掃後は左下(水色)に移動しており、菌数もRLU値も明らかに少なくなっていることが確認できました。
清掃分野におけるATPふき取り検査(A3法)の活用事例をいくつかご紹介します。
清掃業者A社様では、浴室の追い焚き配管やドラム式洗濯機のクリーニングでA3法を活用しています。清掃前後でお客様の目の前でATPふき取り検査(A3法)を実施することが、クリーニングの効果を明確に伝えることにつながっています(写真1)。
管理基準の一例として、配管入り口では「500 RLUを超えたら再清掃」というルールを設けています。ある期間のデータ(n=1793)では、清掃前の平均値は92,408 RLUでしたが、清掃後は134 RLUと大幅に改善されていました(図12の左)。
また、清掃後の分布(図12の右)を見ると、RLU値のバラツキは少なく、90%タイルは342 RLUで、500 RLUという基準値が妥当であることも確認できました。
清掃業者B社様では、清掃手順の標準化サポートにATPふき取り検査(A3法)を活用しています。
あるホテルでは、宿泊客が安心してご利用いただけるように、清掃業者B社様の協力の下、客室清掃の改善、清掃品質の向上に取り組ました。ホテル客室の45ヶ所でA3法を実施したところ、合格20ヶ所(表の水色)、要注意6ヶ所(表の黄色)、不合格19ヶ所(表のピンク色)でした(基準値:合格2,000 RLU以下、不合格3,000 RLU以上)。また、清掃後のRLU値は全体的に低くなっていることもわかりました(図13)。
こうした結果に基づいて、清掃仕様の改善に取り組み、清掃品質の向上につなげています。例えば、A3法で「要注意」の箇所(靴ベラやハンガーなど)や、「不合格」の箇所は、新たに「清掃後にA3法を実施する箇所」として追加しました。また、衛生対策も考慮に入れた「新しい清掃仕様」の確立にも取り組んでいます。
機器運営管理業C社様は、同社が推進する「きれい守る化プロジェクト(2021年4月~9月実施)」の一環として、コンビニなどに設置されているATMのディスプレイやテンキーを電解水とマイクロファイバークロスで徹底的に有機物を除去して、A3法で清掃品質の確認を行った後(基準値:1,000 RLU)、抗ウイルス・抗菌フィルムを貼付するサービスを展開していました。
全国に1万ヶ所以上設置されているATMについて、ディスプレイや15個のテンキーのA3法を実施するので、膨大なデータが蓄積されます。データはルミテスターアプリを活用して、クラウドで一元管理しています。
施設運営業D社様では、HACCPの推進、および環境衛生への取り組み(GBAC STAR認証の取得)などで、A3法による清掃品質の評価を行っています。
また、ファシリティマネジメント業E社様では、「アフターコロナ時代」を念頭に置いた清掃事業の在り方を検討しています。同社では、美観や感染対策を両立させた「ニュースタンダードクリーニング(NSC)」という考え方を考案し、その構築・運用においてA3法を活用しています。
ルシパックA3 Surface 100本入 (ATPふき取り検査システム) 60361
品番:2-8524-12
入数:100本(20本/袋×5袋入)
価格:22,119円(税込)
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